住まいの終活ガイド|家と暮らしを守る
リフォーム詐欺に気をつけて。
突然の「無料点検」や「今すぐ工事が必要」。不安になっても、その場で契約する必要はありません。高齢者を狙う悪質な勧誘の手口と、ご本人・家族・周囲の人ができる備えを、公的資料から整理します。
必要な修繕は家の安全のために大切です。虚偽の説明、不必要な工事、即決を迫る勧誘に注意し、内容を確かめて判断しましょう。
情報確認日:2026年10月10日
その場で契約・送金しない
知らない業者を屋根へ上げない
一人で悩まず、188へ相談
01|数字は集計対象と一緒に読む
相談件数から見える、住まいのトラブル
国民生活センターには、突然の訪問から不要な工事を契約した、不審な点検の後に高額な交換工事を勧められた、といった相談が寄せられています。
| 年度 | 訪問販売によるリフォーム工事 | 点検商法 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 11,879件 | 12,550件 |
| 2024年度 | 9,839件 | 19,249件 |
| 2025年度 | 5,544件 | 19,696件 |
※2026年7月31日更新資料、2026年5月31日までのPIO-NET登録分。経由相談を除きます。「リフォーム工事」は屋根・壁・増改築・塗装・内装工事の合計。「点検商法」はリフォーム以外の商品・サービスも含む別区分です。2列を足して総被害件数にはできません。年度途中の2026年度値はこの表に含めていません。
出典:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」
最近の注意対象は、屋根だけではありません
2026年9月16日公表の分電盤の点検商法に関する資料では、2025年度の相談は6,545件。2024年度の1,290件から約5倍となり、2025年度の契約当事者は70歳以上が8割超と報告されています。
※分電盤の別集計です。2026年7月31日までの登録分で、経由相談を除きます。この年齢割合を、リフォーム相談全体の割合として読み替えることはできません。
02|見えない場所の不安と、相談時間の不足
「家を守りたい」気持ちを、即決につなげる勧誘
屋根や床下は、住んでいる本人にも状態が見えにくい場所です。そこを「危険」と言われ、今日中の工事や契約を迫られると、落ち着いて確認する時間がなくなります。在宅中の訪問、相談相手がすぐ近くにいない場面、説明を断りにくい雰囲気にも注意が必要です。
年齢だけで判断力を決めつける必要はありません。ご本人の「家を大切にしたい」という気持ちを尊重しながら、判断を急がせる流れを止めることが大切です。
点検を持ち掛ける
「無料」「近所の工事」と言って、見えない屋根や床下を確認する話へ。
不安を強くする
「危ない」「すぐ直すべき」と言い、写真や制度の説明で信じさせる。
即決を迫る
「今日だけ安い」「今ならできる」と、比較や相談の時間をなくす。
不安を感じたら契約を保留し、別の専門家へ確認。これだけで犯罪と判定する図ではありません。
写真があっても、工事の必要性まで確認できたとは限りません
警察庁の令和7年の生活経済事犯に関する公表資料では、点検時に瓦を動かした写真を使い、以前から傷んでいたように装った事案が紹介されています。これは警察が公表した一事件であり、すべての業者に当てはまる説明ではありません。
画像の場所、撮影時期、撮影前の状態は、画像だけで判断しきれません。知らない業者を屋根へ上げない。写真だけで即決せず、別の専門家に確かめる。この二つを覚えておきましょう。
03|言葉だけで信用せず、内容を確かめる
この説明をされたら、確認の時間をつくる
次の言い回しは、公表された注意情報をもとに整理した勧誘例です。その言葉が出たというだけで犯罪と断定するものではありません。大切なのは、説明の裏づけを別の窓口で確認し、即決しないことです。
| 勧誘の例 | 気をつける点 | 立ち止まる方法 |
|---|---|---|
| 「近くで工事中なので、ついでに無料点検」 | 工事関係者だという説明が、信用につながる | 突然の点検は断り、普段の工務店などへ自分から連絡 |
| 「今すぐ直さないと危ない」 | 見えない場所の不安で判断を急がせる | 別の専門家に、修理の必要性と緊急性を確認 |
| 「今日だけ安い」 | 比較や相談の時間を奪う | その場では契約せず、同じ条件で見積もりを比べる |
| 「屋根の次は外壁、床下も工事が必要」 | 追加契約で総額が膨らむ | 工事履歴、全体の必要性、総額を確認 |
| 「保険金で自己負担はゼロ」 | 保険金の不支給や高額な手数料 | 加入先の保険会社・代理店へ先に確認 |
| 「電力会社・市役所から来た」「法律で交換が必要」 | 本物の点検や制度と混同する | 自分で調べた正規窓口に所属と必要性を確認 |
本物の点検や制度と、工事の勧誘を分けて考える
電気設備には法定の点検がありますが、国民生活センターは、法定点検の調査員が点検後に分電盤交換工事の契約を持ち掛けることはないと説明しています。知らない電話を本物の点検だと思い込まず、契約先の電力会社や一般送配電事業者などへ確認してください。
「省エネ改修が義務化された」などの説明も、その場で信じず公的窓口へ。新築などの制度改正と、既存の自宅を一律にリフォームしなければならないという説明は分けて確かめましょう。
出典:国民生活センター・分電盤の注意情報/消費者庁・省エネ改修の勧誘に関する注意情報
「保険で無料」でも、工事契約と申請サポートは別です
保険金の支払いと金額は、保険契約の条件や保険会社の査定で決まります。工事業者の約束だけで確定するものではありません。工事代金、保険金請求サポートの手数料、解約条件をそれぞれ確認し、加入先へ先に相談しましょう。
経年劣化を知りながら、台風などの被害だと偽って申請してはいけません。保険金の見込みに頼って先に工事を契約すると、自己負担や手数料の問題が残るおそれがあります。
04|取材でなく、公的機関の公表内容を要約
実際に寄せられた相談から、備えるポイントを知る
屋根写真を見せられた、70歳代のお父さま
屋根の傷みの写真を見せられ、約250万円の修理工事を契約。娘が「本当に自宅の屋根の写真なのか」「別の業者の見積もりより高い」と心配した相談です。写真の有無と、工事の必要性・範囲・価格の妥当性は、分けて確認する必要があります。
※2022年12月受付、2023年10月11日公表。出典:国民生活センター・屋根工事の点検商法、事例2
電力会社を名乗る電話から、分電盤の交換契約へ
70歳代の女性が法定点検だと思って訪問を承諾し、「法律で15年で交換が必要」と説明され、約14万円で契約。家族の助言で電力会社へ確認すると、関係のない業者だったという相談です。点検の必要性や訪問者の所属は、相手の名刺に書かれた番号だけでなく、正規窓口で確認しましょう。
※2025年9月受付、2026年9月16日公表。出典:国民生活センター・分電盤の点検商法
高い前金を払った後、工事がなかなか始まらない
約450万円の屋根工事で半額程度を先払いした後、工期が約半年先と言われた60歳代の相談も公表されています。総額の比較だけではなく、着工・完成予定、支払時期、施工体制、遅れたときの取扱いまで書面で確認することが大切です。
05|断る・確かめる・比べる
契約の前に、立ち止まるための具体策
短い言葉で断って大丈夫です
「工事の契約はしません。点検も頼んでいません。お帰りください。」
これは断り方の一例です。インターホン越しなど、安全な距離を保って伝えましょう。家族の不在、年金、預金などを説明する必要はありません。訪問販売では、勧誘前に会社名や勧誘目的などを示す義務があり、契約しない意思を示した後の勧誘の継続・再勧誘は禁止されています。
見積書は「総額」と「工事の中身」を一緒に見る
- 工事が必要な理由と、急ぐ理由に説明の裏づけがあるか。
- 工事場所、数量、材料、単価、足場・廃棄物処分などの諸費用が書かれているか。
- 消費税を含む総額、追加工事の条件、支払時期が明確か。
- 着工日、完成予定、保証や不具合が出たときの対応が確認できるか。
- 会社の連絡先、実際に施工する体制、過去に頼んだ業者との関係が確認できるか。
同じ工事条件で複数の見積もりを取り、安さだけで選ばないことが大切です。契約前・着工前なら、住まいるダイヤルの無料リフォーム見積チェックも利用できます。書類をもとに電話で助言するサービスで、現地へ来て診断するサービスではありません。
自分で屋根へ上がって確かめない
写真が怪しいと思っても、屋根やはしごへ上がるのは危険です。国民生活センターは2026年10月8日、高齢者の高所作業による重い転落事故を注意喚起しています。確認や作業は、信頼できる専門業者などへ依頼してください。
雨漏りや落下のおそれなど、実際に急ぐ必要がある場合は、安全を確保して普段の工務店などへ応急対応を相談しましょう。危険箇所に近づかず、可能な範囲で作業内容と費用を確認してください。
06|期限を確認し、相談を急ぐ
工事が始まっていても、一人で諦めない
追加契約や高額な解約金の支払いを求められたら、対応を決める前に相談してください。書類が全部そろっていなくても、まず消費者ホットライン188へ。相手との対決や、屋根へ上がって証拠を撮ることは避けましょう。
安全を確保する
相手と対決せず、追加契約や解約金の支払いを急がない。警察官の緊急対応が必要なら110。
経緯と書類を残す
訪問日・書面受領日・工事状況をメモし、契約書や送金・連絡の記録を保管。
188へ早めに相談
対象契約・期限・通知先を確認。書類が不完全でも、電話で相談を始める。
通知と記録を確認
対象契約の解除通知を期限内に発信し、コピーや送信・郵便記録を残す。
相談しただけで解除通知をしたことにはなりません。原則8日間の起算日・対象・例外は本文を確認してください。
クーリング・オフは、対象となる訪問販売などで原則8日間
特定商取引法の対象となる訪問販売・電話勧誘販売では、原則として、法律で定められた申込書面または契約書面を受け取った日を含めて8日間、書面やメールなどで解除の通知をできます。法律に沿った説明・承諾等の手続きで交付される電子の契約記録も含まれます。
「契約した日」と「適法な書面を受け取った日」は、必ずしも同じではありません。申込書面と契約書面の両方を受け取った場合は、適法な書面を先に受け取った日を含めて8日間です。後の契約書を受け取っても期間が新たに始まるわけではありません。対象契約なら、工事が始まった・終わったという理由だけで権利が消えるわけではありません。クーリング・オフによる解除では、違約金や工事の対価を負担せず、支払った代金の返還や原状回復を求められる制度です。
出典:消費者庁・訪問販売/消費者庁・適用除外Q&A/国民生活センター・クーリング・オフ
相談しただけでは、解除の通知をしたことになりません
対象契約の解除通知は、8日目までに発信します。電話で話すだけで終わらせず、契約を特定できる情報と解除の意思を、適切な通知先へ書面やメールなどで伝え、コピー・郵便の記録・送信メール・フォーム画面などを残します。クレジット契約がある場合は、クレジット会社への通知も確認しましょう。
通知の文面・相手先・期限が分からないときは、消費生活センターなどへ相談してください。通知方法を確認しながら、期限を過ぎないように動くことが大切です。
8日を過ぎても、相談する意味があります
書面が交付されていない、必要事項に不備がある、嘘や脅しで解除を妨げられたなどの場合、8日を過ぎてもクーリング・オフできることがあります。過量販売や不当な勧誘など、別の制度で解除・取消しを検討できる場合もあります。高齢であるというだけで、自動的にすべての契約が取り消せるわけではありません。個別の判断は、相談窓口や法律の専門家へ確認しましょう。
07|本人の意思を尊重する見守り
責めるより、一緒に確認できる関係を
「どうして契約したの?」と責められると、次の相談をためらうことがあります。まず話してくれたことを受け止め、契約書、訪問の経緯、工事の状況を一緒に整理しましょう。以下は、相談しやすい関係をつくるための提案です。
大きな契約の前に一度連絡
本人が信頼する家族・知人・相談先へ、見積書を見ながら電話する。
家の記録を一か所へ
修理履歴・保証書・工務店の正規連絡先をまとめ、過去の工事も確認。
訪問時の合言葉を用意
「工事の契約はしません」。資産や家族の不在を伝える必要はない。
変化に気づいたら声をかける
見慣れない工事や請求書に気づいたら、責めずに状況を一緒に整理。
本人の意思を尊重するための提案です。家族がいない場合も、消費生活センターや地域の支援者へ相談できます。
見慣れない工事、契約書や請求書、普段と違う出金、困っている様子などに気づいたら、押しつけず声をかけてください。離れて暮らす家族だけでなく、信頼できる知人や地域の支援者に相談できる関係も備えになります。本人以外からも消費生活相談はできます。
「物忘れが増えた」「書類が管理できない」など継続的な心配があれば、本人の意思を尊重し、地域包括支援センターなどにも相談しましょう。家族であるというだけで、本人の契約を当然に取り消せるわけではありません。
08|解約の相談と、家の維持・整理を分けて考える
困りごとに合う窓口へ、早めに相談
| 困りごと | 相談先 | 利用時の注意 |
|---|---|---|
| 不審な勧誘、解約、支払い、クーリング・オフ | 消費者ホットライン188 | 最寄りの消費生活センター等を案内。相談料無料・通話料別。受付時間は案内先により異なり、24時間対応ではありません |
| 工事の必要性や内容、見積書の相談 | 住まいるダイヤル 03-3556-5147 | 建築士が対応。平日10:00〜17:00、土日祝休日・年末年始を除く。電話相談料無料・通話料別。見積チェックは契約前・着工前 |
| 緊急ではない犯罪の不安や警察相談 | #9110・最寄りの警察署 | 受付時間は都道府県警察で異なります。利用できない電話回線では地域の直通番号へ |
| 暴力・威迫など、警察官の緊急対応が必要 | 110 | 自分の安全を優先し、相手と対決しない |
| 保険金の対象・申請・支払いの確認 | 加入先の保険会社・代理店 | 業者が紹介した連絡先だけでなく、保険証券などで正規の窓口を確認 |
相談するときに手元へ置くもの
契約書・見積書・名刺・広告、メッセージや送られた写真、請求書・領収書・振込記録などを保管しましょう。訪問日、書面を受け取った日、相手の説明、工事の進み具合を時系列でメモしておくと、状況を伝えやすくなります。全部そろうまで、相談を待つ必要はありません。
出典:消費者庁・消費者ホットライン/住まいるダイヤル・電話相談/警察庁・相談窓口
終活として、家の「これから」を決めておく
修理履歴、保証書、普段の工務店の連絡先をまとめ、家を維持する・住み替える・売却するなどの方針を早めに考えておくと、突然の勧誘だけに判断を委ねずに済みます。必要な修繕まで怖がって先送りするのではなく、計画と相談先を持っておきましょう。
個人情報漏えいと終活・不動産/認知症と不動産も、暮らしと住まいを守る備えとしてご覧ください。
ご相談の前に
よくある疑問
契約の経緯や書類の状態で、使える制度は変わります。迷ったら自己判断で諦めず相談してください。
無料の点検は、すべて詐欺ですか?
無料という言葉だけで詐欺とは決められません。ただし、突然の点検で不安をあおり、すぐに高額な契約へ進める勧誘には注意が必要です。点検の必要性と所属を別の正規窓口で確かめ、その場では契約しないようにしましょう。
自分で業者を呼んだら、クーリング・オフできませんか?
一律に対象外とは限りません。見積もりだけを頼んだ場合や、安い広告から大きく違う高額請求に変わった場合などは、訪問販売として対象となることがあります。呼んだ経緯、広告、契約内容を相談先へ伝えてください。
工事が終わり、お金も払いました。もう相談できませんか?
相談できます。対象となる訪問販売などなら、工事の開始・完了だけでクーリング・オフの権利がなくなるわけではありません。書面受領日、工事状況、支払いを伝え、返金・原状回復を含む対応を相談しましょう。
8日を過ぎたら、必ず手遅れですか?
必ず手遅れとは限りません。書面の不交付・不備、解除の妨害などでクーリング・オフできる場合や、別の解除・取消し制度が使える場合があります。早めに188へ相談してください。
クーリング・オフは、はがきでないとできませんか?
書面だけでなく、メールや専用フォームなどの電磁的記録でも通知できます。契約を特定できる情報と解除の意思を、適切な通知先へ伝え、発信・送信の証拠を残しましょう。電話で話すだけで終わらせないことが大切です。
高齢の親の契約を、子どもが取り消せますか?
高齢であることや、子どもであることだけで当然に取り消せるわけではありません。本人の意思を確認し、契約の経緯と使える制度、代理する場合の権限などを相談先へ確認してください。家族から相談を始めることはできます。
保険金が出ると言われれば、自己負担なしで工事できますか?
業者の説明だけで、保険金や自己負担額は確定しません。加入先の保険会社・代理店へ先に確認し、工事契約と申請サポートの手数料・解約条件をそれぞれ見ましょう。損害の原因を偽った申請はしないでください。
屋根が危ないと言われたら、自分で上がって確かめるべきですか?
屋根やはしごへ上がると転落の危険があります。安全な場所から確認できる範囲にとどめ、信頼できる専門業者などへ依頼してください。実際に落下や火災などの差し迫った危険がある場合は、安全の確保を優先してください。
家の維持・整理・これからの方針を相談する
終活専門不動産では、終活に伴う住まいの整理や管理、住み替え・売却などの方針をご相談いただけます。契約の解除・取消し、詐欺の判断や相手との交渉は、消費生活センターや法律の専門家へご相談ください。