住まいと、これからの暮らしの相談窓口

遺言で考える、不動産と空き家のこれから

家を遺すか、売った代金を遺すか。

「子どもは遠方に住んでいて、実家を使う予定がない」「お世話になった人や団体へ財産を遺したい」。不動産をそのまま渡す以外に、遺言で売却を指示し、代金を遺す方法を検討できます。清算型遺贈は、こうした希望を形にするための仕組みです。

遺言を書けば自動的に売れるわけではありません。誰が死後の手続きを進めるか、売れる条件があるか、住む人をどう守るか、費用と税はどうなるか。生前の準備と死後の実行をつなぎ、空き家にしてから困る前に、不動産の出口を考えましょう。

遺言に不動産の売却と代金の渡し先を定めることはできます。実行する遺言執行者の権限と、物件・暮らし・費用の条件まで整えることが大切です。

情報確認日:2026年10月8日

終活専門不動産(運営:Well-base)では、不動産の状態・管理・活用・売却、実家じまい、住み替え等の方針をご相談いただけます。遺言の作成と法的な解釈・執行・相続関係は公証人や内容に合う弁護士・司法書士等、登記は司法書士等、税務は税理士・税務署へ確認します。遺言や士業の業務を当社が代行するものではなく、売却の成立・価格・期限、紛争の解消、税の軽減を保証するものでもありません。

家と遺言の準備、代金の引継ぎを考えるイメージ 小さな家、内容を確認する資料、代金の引継ぎを表す抽象的な封筒を描いています。売却や引継ぎが自動で進むことを表すものではありません。
家・遺言の準備・代金の引継ぎを考えるイメージです。
不動産を売り、代金を遺す方針を遺言で定める
遺言執行者と、住む人・権利・売却条件を生前に確認
売れるまでの管理、費用・税、売れない場合まで備える
01 / 遺言で売却を指示

遺言で、不動産を売却することはできる?

売却の方針と、代金の渡し先を遺言に定める

自分が亡くなった後、不動産を売却して、その代金を相続人や第三者に遺す方針を遺言に定めることができます。実務で「清算型遺贈」と呼ばれる方法です。換価とは、財産を売る等して、お金に換えることを指します。

自宅を子どもが使わないと分かっている場合、複数の人に代金を分けたい場合、相続人以外の人や団体に財産を遺したい場合等に、検討する余地があります。不動産の所有と管理を引き継ぐのか、お金を受け取る形を目指すのかを、生前の希望から考えます。

参考:法務省「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会報告書」。2019年の研究会資料にも清算型遺贈と登記実務が扱われています。報告書の提案を、そのまま現在の法令として紹介しているものではありません。

遺言は売買契約ではなく、死後の実行を必要とする

売買には、買主、売却条件、契約、代金決済、登記等の手続きが必要です。遺言だけで買主が決まったり、国や自治体が買い取ったり、死亡日に代金が入ったりするわけではありません。

売却・清算を行う遺言執行者を指定し、売る対象、渡す相手・割合、必要な権限や費用の扱いを具体的に相談します。「家は売ってほしい」という希望だけでは、どこまで実行できるか分かりにくくなるためです。

エンディングノートや遺言の付言事項に思いを書くことと、法律上実行する遺言条項を整えることは別です。希望のメモだけを売却の権限として扱わず、本人の意思と財産に合う内容・方式を相談します。

遺言と、死後に動く人をつなぐ

段階担当・確認すること整えるもの
生前の準備本人の希望、家族・居住者、受取人、執行者、物件の条件を確認。専門家と遺言を整える。遺言、財産資料、連絡先、売却方針、費用の見通し。
死後の売却・執行執行者が遺言と財産・権利を確認し、必要な通知、登記、管理、売却を進める。財産目録、権限と手続き、売買・決済等の記録。
代金の清算・引継ぎ費用・税・債務等の扱いを確認し、遺言と法律に従って代金を渡し、報告する。計算の根拠、受取・精算の記録、残る申告・課題。
当社が整理した基本の流れです。遺言の内容、権利・家族関係、物件や税の事情により、必要な手続きと順序は異なります。

この図は当社による説明用の整理です。全ての遺言で同じ順番になるものではなく、遺言で指定すれば法令や契約上の制限を越えられるという意味でもありません。

「新しい空き家対策」になるのか

清算型遺贈は、今回新しく創設された国の空き家買取制度ではありません。既存の遺言と遺贈の仕組みを、不動産の出口づくりに活用する考え方です。

誰も使わない家について、死後に「誰が管理し、いつ、どうするか」が決まらない期間を減らすための備えとして、役立つ可能性があります。売却の担当者と方針、資料、当面の資金を先に整える点が重要です。一方、需要や権利の問題がある物件を、遺言の文言だけで売れる物件に変えることはできません。

当社は、これを空き家化の予防策の一つとして考えます。生前に売却・住み替えをする、家族が引き継いで使う、管理して次の用途を探す等の方法も比較し、本人と家族に合う方針を選びます。

自治体の終活支援で活用する例も

大和市は、2026年4月から遺贈寄附の登録制度の対象に不動産を追加したと案内しています。市で有効活用が難しいマンション等では、執行者が現金化して市へ寄附する清算型にも対応し、事前相談、専門家の紹介、死亡を把握した際の執行者への連絡を行う例です。

これは大和市の支援の一例で、市が全ての物件を買い取る制度や全国一律の受入れではありません。受入れの可否、対象、費用等は市へ確認します。遺言、実行役、連絡をつなげる取組みとして参考になります。

参考:大和市「終活支援(終活相談など)」、国土交通省・住まリテ「いつか住まいを手放すことも考える」。空き家化の予防につながる可能性は、当社による整理・考察で、効果の件数や売却の保証を示していません。

02 / 清算型と選択肢

清算型遺贈とは?現物を遺す場合との違い

「何を渡すか」と「どう実行するか」を分ける

遺贈とは、遺言によって財産を与えることです。受け取る人を受遺者といいます。清算型では、不動産等の換価と、その代金の交付を遺言の内容に組み込みます。物件をそのまま渡す場合とは、受取人の負担や実行の段取りが変わります。

不動産の全部を対象にするのか、一つの土地・建物に限定するのか、財産全体の一定割合を渡すのか等によって、法的な解釈も変わります。「清算型」という呼び方だけで、包括遺贈か特定遺贈か、債務や税がどう扱われるかまで決まるわけではありません。

選択肢主に目指す引継ぎ先に考えること
不動産を現物で相続・遺贈する指定した人が不動産そのものを引き継ぐ。利用、管理、税、借入、必要な登記。受取人の希望。
清算型遺贈を用いる死後に不動産を売り、代金を遺言に従って渡す。執行者、売却条件、売れるまでの管理、費用・税、売れない場合。
生前に売却し、遺言で金銭を遺す本人が生前に売却し、死後には残った金銭等を引き継ぐ。本人の住まいと生活資金、売却・税、遺言の更新。
死後に相続人が協議して売却する相続後の話合いと手続きを経て、売却・分配を行う。相続人の範囲、合意、担当者、資金、管理と税。

当社の比較表です。どの方法でも実現できるという意味ではなく、売却の成否、価格や税の有利不利を示す表でもありません。清算型でも、途中の登記や相続関係の確認が不要になるわけではありません。

遺言は原則として死亡により効力を生じます。本人の判断能力が低下したときに、生前の自宅を売って介護費に使いたい希望は、遺言だけでは対応できません。生前の契約・信託・後見等、目的に合う方法を法律の専門家へ別に相談します。

お金なら分けやすくても、残す思いは先に話す

一つの家を物理的に分けるのは難しく、共有で持つと将来の管理や売却の相談が続くことがあります。お金に換えて渡す方針は、こうした負担を減らす選択肢になります。

ただし、家に住みたい人、思い出の品を残したい人、売却に納得していない人がいるかもしれません。本人の意思を中心に、家族が知っておくべき事情を整理します。法律上の権限があることと、死後の連絡・実務が円滑に進むことは、分けて考えましょう。

当社による説明用モデル① 遠方の子どもへ代金を遺したい

自宅で暮らす親に、遠方に住む子どもが二人いる場面を想定します。二人とも実家を使う予定がなく、親は亡くなった後に売却し、必要な費用等を整理した代金を渡したいと考えています。

まず、住む人が他にいないか、名義・担保・道路・境界の資料がそろうかを確認します。次に執行者、売却までの管理費、代金の割合、税と申告の担当、売れない場合の扱いを専門家と相談します。希望と実行の条件を両方整えるための、架空のモデルです。実在の相談・成約例でも、売却の保証でもありません。

03 / 執行者と死後の流れ

遺言執行者が、死後の売却を進める

執行者は、遺言を実現する役割を持つ

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理その他必要な行為をする権利義務を持ちます。任務を始めた際の相続人への通知、財産目録の作成・交付等も定められています。

売却・清算を行う場合は、遺言にどの対象・権限が定められているかを確認して進めます。執行者という肩書があれば、遺言にない財産を自由に処分したり、相手の権利を無視したりできるというものではありません。

参考:e-Gov「民法」第1007条・第1011条・第1012条等、法務省「遺言執行者の権限の明確化等」。現行条文と制度の説明を区別して確認します。

信頼だけでなく、実際に引き受けられるかを聞く

親しい人を指定する場合でも、仕事・健康・居住地、家族との関係、資料を扱う力、専門家へ相談できる体制を確認します。報酬、業務に含む範囲、実費、立替え、連絡・報告の方法も、生前に説明を受けておきます。

専門家等へ依頼する場合は、遺言の作成支援と死後の執行が同じ契約に含まれるとは限りません。売却の仲介、家財の処理、登記、税申告等の担当と費用を分けて確認します。利益相反の可能性や、執行者自身・関係者への売却等が問題になり得る場合も、適切な判断と手続きが必要です。

指定した人が先に亡くなった、辞退する、就任できない等の場合の備えも相談します。遺言執行者がいない、又はいなくなったときは、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が選任する手続きがありますが、遺言を書いたことだけで自動的に選ばれるわけではありません。

参考:裁判所「遺言執行者の選任」。

死後には、権利・管理・契約・清算を進める

主な局面実行する際に確認すること
遺言と財産の確認遺言の所在・内容、必要な手続き、執行者の就任、相続人・受取人、財産と負債。
通知・資料・管理法令上の通知・目録、鍵・書類・家財、居住・賃貸借、保険、巡回と支払い。
登記と売却の準備名義のつながり、権限、担保、物件調査、価格・条件、仲介等の契約。
契約と引渡し買主との合意、物件の説明、代金・費用の決済、所有権移転、家財・鍵等の引渡し。
清算と報告費用・税・債務等の扱い、渡す金額の計算、受取確認、記録、残る申告や課題。

当社が整理した確認項目です。死亡後すぐに家を空にする、最初の買主へ必ず売る、契約前に全額を受取人へ渡すといった、一律の手順を示していません。

相続人には、遺言執行を妨げる行為をしないこと等が求められます。一方、第三者との関係には例外があり、遺言執行者がいることによって債権者が権利を行使できなくなるわけでもありません。相続人が協力しない場合や権利に争いがある場合は、執行者の権限と必要な対応を法律の専門家へ確認します。

04 / 物件・暮らしの条件

遺言の前に、物件と暮らしの条件を調べる

共有、借地、担保を、本人の持ち物と一緒にしない

土地と建物の名義が違う、過去の相続登記が済んでいない、共有者がいる、借地上の建物である等の事情を洗い出します。遺言で処分できる本人の権利がどこまでかを確認し、他の共有者の持分まで、自分の遺言だけで売れるとは考えません。

共有持分だけを処分する場合と、物件全体を売る場合では、権限や売却条件が違います。借地契約、通行・配管、担保や借入についても、売却・承諾・返済等の手続きを確認します。遺言があることだけで、他人の同意や契約条件が不要になるものではありません。

住む人がいる家を、直ちに空き家として扱わない

配偶者、子ども、同居人、賃借人等が暮らす場合は、その人の住まいと権利を先に考えます。配偶者居住権、賃貸借、使用の経緯等により扱いが異なり、遺言に売却を定めたことだけで、退去や契約の終了が決まるわけではありません。

「死亡後すぐ売却」という希望と、「残された家族が暮らし続ける」という希望が両立するかを、本人が元気なうちに相談します。転居先、生活資金、時期、誰が費用を負担するかも含め、住む人の生活を置き去りにしない方針を整えます。

不動産の出口は、現地と資料で確かめる

道路・接道、境界・越境、建物の状態、法令の制限、管理費の滞納等、売却に影響する事項を調べます。購入時や改修時の契約・領収書、図面、測量や境界の資料を残すことは、売却や税の確認にも役立ちます。

必ず先に解体・測量・大規模修繕をするという意味ではありません。建物付きで売る場合との比較、必要な調査、費用と売却の見込みを確認して判断します。現地の問題を遺言で解決したことにはせず、分かっている事情を執行者が引き継げるようにします。

売れない、条件が合わない場合の方針も相談する

相場や需要は変わります。最低価格や売却期限を厳しく決めすぎると、希望の条件では買主が見つからないこともあります。価格等を判断する範囲、見直す際の基準、売却が難しい場合の代替案を、遺言の内容としてどこまで定めるか専門家と相談します。

遺言執行者が、自分の判断だけで遺言を書き換えられるわけではありません。成立しなかったときに誰が管理や費用を担うか、受取人や相続人との関係をどう扱うかも、作成前の検討事項です。生前の売却、管理・活用、別の承継方法等も比較します。

当社による説明用モデル②として、売却額を固定した遺言を残した後、道路や建物の条件が分かり、想定した価格では買主が見つからない場面を考えます。固定条件のまま止まる可能性を、生前に調べておくための架空のモデルで、実事件ではありません。

05 / 手取り・登記・税

売却価格と手取りは違う。登記・税も先に確認

売れる前に支払う費用もある

売却価格から、全ての代金をそのまま渡せるとは限りません。登記、調査、管理、仲介、家財、必要な工事、執行者の報酬・実費、税や借入等を、内容に応じて確認します。

誰が負担し、何を代金から差し引くかは、遺言・法律・契約の扱いをそろえて相談します。全ての支払いを売却後に回せるわけでもありません。売却までに必要な資金、遺産から支出する方法、立替えの承認と精算、資金が足りないときの扱いを、執行者候補等と確認します。

費用・資金の項目見積もりや方針で確かめること
執行と専門家報酬、実費、登記・税務等の別料金、仕事の範囲、精算と報告。
売却の準備・契約調査、仲介、家財、必要な測量・修繕・解体等。必須か選択かを区別。
売却までの保有固定資産税、管理、保険、修繕、管理費等。想定期間を延ばした場合も比較。
債務・税・交付返済や納税の義務者、必要額と時期、受取人へ渡せる金額、後日の精算。

当社による確認表です。全国共通の料金や手取りの計算式ではありません。「売却額の何割を渡す」という希望でも、費用や税をいつ誰が負担するかが不明なら、受取額の認識がずれる場合があります。

登記を飛ばして売れる、とは考えない

清算型遺贈では、売却に向けて相続人名義への登記を経る実務が扱われています。誰がどの立場で登記を申請し、買主へどの順序で移転するかは、遺言の文言と承継関係等を司法書士・法務局へ確認します。

執行者が売却の契約・手続きを行うことと、執行者本人が個人的に不動産を所有することは別です。執行者固有の財産にするための名義変更を、当然の手順と考えません。また、清算型と書けば、故人の名義から直接買主へ、途中の登記を省いて移せるという説明でもありません。

相続登記の義務等、必要な期限も別に確認します。換価のために手続きを進める場合でも、相続人や受取人の確認、住所・名義のつながり、担保の処理等を丁寧に整えます。

参考:法務省「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会報告書」、法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」。後者は一般的な相続・遺贈登記の案内で、清算型の全ての登記方法を示すものではありません。

相続税と売却時の所得税を、別に調べる

「現金を受け取るから税がない」「清算型なら節税になる」とは決めません。相続・遺贈による財産の取得と、不動産を売る際の譲渡所得は、別の問題です。誰が何を取得したか、誰の所得として売却を扱うかを、遺言の内容に沿って確認します。

税の確認生前から専門家へ伝えること
相続税遺言の文言、財産・債務、受取人との関係、取得する財産、評価や申告の必要性。
売却時の譲渡所得法的な取得・売却の関係、申告・納税する人、購入時の取得費、譲渡費用等の資料。
法人等への遺贈・寄付団体の種類、受入れの条件、現物か代金か、課税と特例の確認。
空き家等の特例誰が取得・譲渡するか、物件、居住・利用、時期、書類等の要件と申告。

当社による相談項目の表です。清算型遺贈の名称だけで課税関係は確定しません。代金から税の見込額を差し引く条項を設けても、法令上の納税義務者が自由に変更されるわけではありません。

売却代金を分配するときに差し引く費用と、所得税の計算で控除できる取得費・譲渡費用は、同じとは限りません。相続・遺贈で取得した不動産の取得費は、原則として故人の購入代金等を基に計算します。相続時の評価額をそのまま取得費と決めず、購入・建築・改修等の資料を残します。

参考:国税庁「譲渡所得の計算のしかた」、同「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」。

相続税の申告・納税が必要な場合、期限は原則として、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。売却や分配を待てば自動的に期限が延びるわけではありません。死後の売却の所得を、全て故人の準確定申告で扱えるとも決めず、誰が何をいつ申告するかと、納税資金を先に相談します。

参考:国税庁「相続税がかかる場合」。

相続した空き家を売る際の特別控除等には、それぞれ対象者・家屋・譲渡時期・利用状況・申告等の条件があります。清算型を使ったことだけで、自動的に適用されるものではありません。売却の後に初めて調べるのではなく、案を作る段階で税理士等に確認します。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」。

不動産そのものを法人等へ遺贈すること、死後に売却した代金を遺贈すること、相続した人が財産を寄附することも区別します。寄付先が公益的な活動をしているというだけで、全て非課税になるわけではありません。

参考:国税庁「国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人等に財産を寄附したとき」、同「相続財産を公益法人などに寄附したとき」。

債務・遺留分と、受取人の事情を置き去りにしない

清算型と呼ぶだけで、借金や相続上の負担がなくなるものではありません。包括遺贈等の法的な性質、債権者との関係、誰が債務を負担するかを整理します。残る配偶者や子ども等の遺留分についても、遺言があれば全て避けられるとは考えません。

受取人が先に亡くなる、受取りを辞退する、寄付先が受け入れない・存在しなくなる等の場合もあります。次の受取人や代替の扱いをどう備えるかを、生前に相談します。寄付先には、正式名称・法人情報、現物と代金の受入れの違い、条件、連絡先等を確認しておきます。

希望どおりの配分と、法律上の権利・税・実務が両立するかを、遺言案を共有して確認します。インターネット上の文例だけを写して、家族・財産の事情が異なる遺言を完成させないようにしましょう。

06 / 生前の6手順

生前に進める、6つの準備

以下は当社が整理した相談の順序です。遺言の完成例ではなく、本人の希望と不動産の条件を、専門家へ具体的に伝えるための手順です。

  1. 残す希望と、住む人の暮らしを整理する

    家を誰かが使うのか、売却して代金を渡したいのかを考えます。同居人・賃借人、家財や思い出の品、本人の今後の住まいと生活資金も一緒に確認します。

  2. 不動産・家族・負債の資料を集める

    土地と建物の登記事項証明書、課税明細、購入・改修の資料、図面や境界、借地・賃貸借、借入等を整理します。相続人・受取人の関係と、未確認の権利も明らかにします。

  3. 現物の引継ぎ、生前売却、清算型を比較する

    売却の可能性と条件、管理、準備費用、時間を確認します。価格・期限を固定するリスク、売れない場合も含め、本人と家族が負担を見通せる方針を考えます。

  4. 受取人と執行者候補、資金・報告を確認する

    受取先と配分、寄付先の条件、執行者の就任・報酬・範囲を相談します。売れるまでの管理、必要な資金、立替えと精算、辞退・死亡等の代替案、記録・報告の方法も確認します。

  5. 法律・登記・税をすり合わせ、遺言を作成する

    公証人や内容に合う法律・登記の専門家、税理士等へ、同じ遺言案と資料を示します。売却の権限、費用、債務・遺留分、名義、課税関係等を確認し、適切な方式で遺言を整えます。

  6. 保管・連絡を整え、事情が変わったら見直す

    遺言の存在と連絡先を、必要な人が分かるようにします。鍵・資料・管理情報の扱いも確認します。転居、物件売却、家族や受取人・執行者の事情が変わったら、遺言と方針を見直します。

07 / ご相談の前に

よくある質問

遺言に「売却して代金を渡す」と書くことはできますか?

その方針を遺言に定めることができます。対象、渡し先・割合、執行者、必要な権限、費用や売れない場合等を具体的に相談します。遺言だけで売買が成立するものではありません。

清算型遺贈は、新しい国の空き家制度ですか?

既存の遺言・遺贈の仕組みを使う方法です。国が買い取る制度ではありません。死後の担当者と方針を先に整え、空き家の長期放置を予防する備えの一つとして考えます。

不動産をそのまま遺すより、必ずよい方法ですか?

一律には決まりません。使いたい人がいるか、管理や費用、売却の見込み、受取人の希望等によります。現物の承継、生前の売却、死後の協議等も比べ、本人の暮らしから考えます。

執行者を決めれば、登記や相続人の確認は不要ですか?

不要にはなりません。執行者の権限、名義のつながり、相続・共有、受取人等を確認します。執行者が売却を行うことと、その人が個人的に物件を所有することは別です。

共有の家や、家族・賃借人が住む家も、すぐ売れますか?

自分の遺言だけで他人の持分や居住・賃貸借の権利を処分できるわけではありません。誰の権利か、必要な同意・承諾、残る人の住まいと時期を、作成前に専門家へ確認します。

受取人には、借金も税もかからない方法ですか?

呼び方だけでは決まりません。遺言の解釈、取得・売却、相続・受取人の関係等によって扱いが異なります。債務、遺留分、税の義務者と申告、特例の可否を個別に確認します。

希望した値段で売れない、受取人が亡くなった場合は?

生前に代替の扱いを相談しておきます。条件の見直し、管理・資金、次の受取人等をどう定めるかが検討事項です。執行者が自由に遺言を書き換えられるわけではありません。

公正証書遺言にしたら、物件の問題も解決しますか?

遺言を適切な方式で整えることと、物件の道路・境界・共有・居住、売却の成立は別です。公証人への相談と、不動産の調査、登記・税の確認をつなげ、実行できる準備を整えます。

08 / 相談先と当社の役割

遺言と不動産の方針を、一緒に考える

同じ希望と資料を、担当する専門家へつなぐ

相談したいこと主な相談・確認先
遺言の方式と公正証書の作成公証人・公証役場。個別の内容に応じ法律の専門家とも相談。
遺言の解釈・執行、相続・債務・遺留分、紛争内容に合う弁護士・司法書士等。紛争・代理は権限に合う弁護士等。
名義のつながり、相続・売却等の登記司法書士、管轄法務局等。境界・測量は土地家屋調査士等。
課税関係、所得・相続の申告、寄付や特例税理士、税務署。税の種類に応じ自治体等の税務窓口。
寄付先の受入れと連絡受取先の団体・法人の担当窓口。専門家と契約・税も確認。
管理・活用・売却、実家じまい・住み替え終活専門不動産等、不動産の相談先。

終活専門不動産がご相談を受けること

「家族が実家を使わない」「死後に管理を任せられる人がいない」「遺言に売却を定める前に、物件の条件を知りたい」。こうしたご相談を、不動産の状態・資料・希望の整理からお受けします。

現物で引き継ぐ場合、生前の住み替えや売却、死後の売却に向けた準備を比べ、管理する期間と費用まで考えます。遺言の作成・解釈・執行、登記や税務はそれぞれの専門家に確認し、本人の希望が実行の段取りにつながるように相談事項を整理します。

不動産の遺し方と、空き家にしない備えを相談する

お問い合わせフォーム / 電話:03-6416-9057(9:00〜18:00)

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