クリーニング店・工場・店舗などを相続した方へ
事業用の不動産を相続。手続きを順番に確認。
親が営んでいたクリーニング店。設備が残った工場。店舗として貸していた建物。引き継いだものが何かによって、必要な手続きは変わります。
不動産の名義だけでなく、営業の届出、借入れや契約、残された設備・薬剤、過去の土地利用も確認します。このページではクリーニング店を中心に、営業を続ける場合と廃業する場合の注意点を順番にご紹介します。
相続放棄を検討している方は、財産の売却・解体・処分を進める前に弁護士等へ相談してください。申述期限は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。設備や環境の調査が終わるまで待たずに確認を始めます。
当社は、不動産の今後の方針を整理する相談窓口です。環境の診断や行政手続きの判断は、それぞれの専門家・行政窓口へご相談ください。
何を引き継いだのか、3つに分けて整理
ここでいう「特殊物件」は、営業や設備、過去の使われ方を含めた確認が必要な不動産の総称です。すべての物件に同じ法律や調査が適用されるという意味ではありません。
不動産・営業・設備の名義は、一致するとは限りません
| 引き継いだもの・状況 | まず確認したいこと | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 亡くなった方が所有していた土地・建物 | 登記事項証明書、相続人、遺言、賃貸借や担保の有無。 | 店舗の建物を相続しても、その店の営業者になるとは限らない。 |
| 借りた店舗で営んでいた個人事業 | 営業の届出名義、店舗の賃貸借契約、設備の所有・リース、債務。 | 土地・建物の所有権を相続するケースとは異なる。貸主への連絡や契約の確認も必要。 |
| 他人や法人が営業している店舗の土地・建物 | 貸主・借主の関係、営業主体、賃貸借契約、環境関係の資料。 | 不動産の所有者と営業者の手続きを、混同しない。 |
| 法人の株式等 | 法人名義の不動産・営業届出、代表者、会社の契約や登記。 | 株式等の相続で、会社所有の土地・建物が相続人個人の所有になるわけではない。 |
| 機械・薬剤・タンク等 | 所有者、リース契約、種類、残量、保管状態、設置・点検記録。 | 店舗内にある物が、すべて亡くなった方の所有物とは限らない。 |
法人が営業者である場合、代表者の死亡や株式の相続だけで、個人営業者の相続承継届と同じ手続きになるとは限りません。代表者変更の届出、会社の登記、株式や経営の引継ぎを、それぞれ確認します。
クリーニング店は「取次」と「洗濯を行う施設」を区別
洗濯物の受取り・引渡しだけをする「取次所」と、実際に洗濯・仕上げ等を行うクリーニング所では、設備やクリーニング師の配置などの確認事項が異なります。
ドライクリーニングは、水の代わりに溶剤を用いる洗濯方法です。溶剤の種類によって、環境や消防上の確認事項が変わります。今は取次所でも、以前その場所で洗濯を行い、溶剤を使用していた可能性は別に調べます。
相続直後に進めたい、5つの初動
① 相続の期限と、財産を動かす前の注意点を確認
相続放棄の申述期限は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内です。借入れ、未払金、契約、環境対応の見込みなどを含め、弁護士等へ早めに相談します。
相続財産の売却・解体・処分などによって、法律上、単純承認をしたものとみなされる場合があります。「不要な設備だから処分してよい」と自己判断せず、行為の内容を確認してください。調査が間に合わない場合は、期限内に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法もあります。
特定の店舗や土地だけを選んで相続放棄することはできません。安全確保のための保存行為などは、目的や方法により扱いが変わるため、法律相談と行政への安全相談を並行して進めます。
② 所有・営業・契約の関係を、紙にまとめる
誰の名義の不動産か、誰が営業者か、どの設備が所有物・リース品かを整理します。遺言、登記、営業届出、賃貸借契約、借入れ、保証、雇用や取引契約を確認しましょう。
共同相続人がいる場合は、窓口となる人と連絡方法を決めます。営業を誰が承継するか、財産を誰が取得するかは、それぞれ必要な合意・手続きを確認します。
③ 記録を確保し、設備・薬剤を勝手に動かさない
営業届出・確認済証等、機械の仕様書、溶剤の購入記録、製品名や安全データシート、配管図、廃棄物処理記録、過去の調査報告、行政からの通知を保管します。元の従業員、設備業者、貸主が資料を持っている場合もあります。
薬剤の容器を開ける、別の容器へ移す、排水へ流す、タンクや配管を外すなどの作業を自分で行わず、種類と状態を専門業者へ伝えます。漏えいや異臭の疑いがある場合は近づかず、所管の消防署・自治体等へ対応を確認してください。火災や人命に関わる差し迫った危険がある場合は、119番へ通報します。
④ 保健所と環境担当部署へ、現在の状態と予定を伝える
「亡くなった方の名前」「所在地」「取次のみか、洗濯をしていたか」「継続・休止・廃業の予定」「分かる範囲の溶剤・設備」を伝え、必要な届出・調査・期限を確認します。営業を続けるか決め切れていなくても、相談を始めて構いません。
⑤ 不動産の登記と、税務・労務の期限も並行して確認
土地・建物を相続で取得した場合、相続登記は原則として、相続の開始と、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前に、相続によってその不動産の所有権を取得したことを知っていた方も、相続登記が未了であれば対象となり、原則2027年3月31日までの対応が必要です。
遺産分割が成立した場合には、その内容を反映する登記の義務もあります。話合いがまとまらない場合は、相続人申告登記などの選択肢を法務局・司法書士・弁護士へ確認します。
登記の3年という期限まで、営業や環境の届出を待ってよいという意味ではありません。税務・労務には別の期限があります。手続きを1つの予定表にまとめると、確認漏れを防ぎやすくなります。
出典:裁判所「相続の放棄の申述」、裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」、e-Gov「民法」、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
営業を続ける場合:承継届と営業の体制を確認
個人営業者の相続には、地位の承継の届出があります
届出をした個人の営業者について相続があった場合、クリーニング業法に基づく営業者の地位の承継を確認します。地位を承継した人は、相続の事実を証する書面を添えて、遅滞なく届け出る必要があります。所在地を管轄する保健所等で、様式や提出先を確認してください。
相続人が2人以上いて、その全員の同意により営業を承継する相続人を選定する場合は、その人が地位を承継する仕組みです。「家族の1人が店に入ったから、その人だけの名義にできる」とは限りません。
| 承継届の主な確認・資料 | 内容 |
|---|---|
| 届出者・亡くなった営業者の情報 | 氏名・住所・続柄、相続開始年月日、施設の名称・所在地等。 |
| 相続を証する書類 | 戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し。 |
| 複数相続人から1人を選ぶ場合 | 選定に関する相続人全員の同意書。 |
| 他店舗・施設に関する情報 | 他のクリーニング所等がある場合の情報など、様式に応じて確認。 |
添付資料の提示方法や追加資料は、所管窓口で確認します。2023年12月に加わった「事業譲渡による承継」と、相続による承継は別の制度上の原因です。売買で事業を引き継ぐ場合の書類を、そのまま相続に使わないよう注意します。
免許・設備・契約も、別に引き継ぎます
| 継続前に確認する事項 | 主な確認先・注意点 |
|---|---|
| クリーニング師の配置 | 洗濯物の受取り・引渡しのみの施設を除き、クリーニング所ごとに1人以上のクリーニング師が必要。亡くなった方の免許を相続人が使えるわけではない。 |
| 衛生管理・研修・講習 | 従事者、洗濯物の区分、設備の衛生、苦情の申出先等を確認。クリーニング師の研修・業務従事者講習についても保健所へ。 |
| 設備の変更・再開 | 洗濯機の変更、取次化、移転、増改築等は事前相談。変更の規模等によっては、新たな開設の手続きや検査が必要な場合がある。 |
| 環境・消防関係 | 使用溶剤、洗濯施設、排水、危険物等の届出や安全管理。営業承継届だけで、すべての手続きが完了するとは限らない。 |
| 雇用・取引・税務 | 従業員、委託先、フランチャイズ、リース、保険、税務やインボイスの取扱いを、それぞれ確認。 |
相続人自身がクリーニング師であることが一律に必要という意味ではありません。実際の営業形態と配置される人を、保健所へ説明して確認します。
出典:厚生労働省「クリーニング業法」、厚生労働省「クリーニング業法施行規則」、新宿区「クリーニング所等の申請・届出手続き」、世田谷区「クリーニング所開設の手引き」
廃業する場合:保健所の廃止届だけでは終わりません
「店を閉める」「洗濯機を使わなくする」「取次だけにする」「建物を取り壊す」は、手続き上、同じ意味とは限りません。どの施設・営業を、いつ廃止するのかを窓口へ具体的に伝えます。
| 状況・対象 | 確認する手続きや作業 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| クリーニング所・無店舗取次の営業を廃止 | クリーニング業法に基づく廃止届。速やかな届出が必要で、自治体の様式や期限を確認する。 | 保健所等の生活衛生担当。 |
| 洗濯施設、排水設備、有害物質の使用等を廃止 | 水質汚濁防止法・下水道法・自治体条例等の対象と届出。土壌調査の要否も別に確認する。 | 自治体の環境・水質・土壌担当、下水道担当。 |
| 薬剤、使用済み溶剤、汚泥、機械等を処分 | 廃棄物の種類・性状と処理方法。産業廃棄物等に当たる場合は、許可の範囲、委託契約、マニフェスト等を確認する。 | 自治体の廃棄物担当、対応する許可を持つ処理業者。 |
| 危険物やタンク等がある | 対象施設の承継・変更・廃止、残存物の処理、撤去の方法等。 | 所管の消防署等、専門業者。 |
| 個人事業主が死亡・廃業 | 個人事業の廃業等、青色申告、消費税、インボイス、給与・源泉徴収等の該当する届出。 | 税務署、税理士。 |
| 従業員を雇用している | 雇用関係、給与・退職等の精算、雇用保険・労働保険・社会保険の変更や廃止等。 | ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所、社会保険労務士、必要に応じ弁護士。 |
| 店舗の賃貸借・リース・取引契約がある | 承継・解約・返却・原状回復の条件、保証や未払金。設備を壊す前に所有者を確認する。 | 契約相手、貸主、弁護士等。 |
| 預かった衣類等が残っている | 所有者・預り記録を確認し、返却や対応の方法を整理。相続財産と区別する。 | 取引先・顧客、必要に応じ弁護士等。 |
「マニフェスト」は、産業廃棄物を他人に処理委託する際に、処理の流れや完了を確認するための管理票です。単なる片付け業者へまとめて任せる前に、何が廃棄物になるか、誰が排出事業者として対応するかを確認します。解体工事に伴う廃棄物は、工事の契約・処理の責任も含めて施工業者と確認します。
預かった衣類はお客様の所有物です。遺産として勝手に処分せず、預り記録を保管し、返却方法や提携工場・フランチャイズとの契約を確認します。顧客の連絡先等を誰に、どの目的で引き継ぐかについても、個人情報の取扱いを確認してください。
税金には、廃業届とは別の申告期限があります
必要な所得税の準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続税の申告・納税が必要な場合は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となります。
個人事業の開業・廃業等届出書は、2026年10月の国税庁案内では、死亡した場合は死亡した年分、廃業した場合は廃業した年分の所得税の確定申告期限が示されています。消費税やインボイス、給与関係等は別の届出・期限があるため、すべてを「廃業後1か月以内」と一括りにしないようにしてください。
廃業に伴う資産の扱いにも税務上の確認が必要です。税理士へ、申告の要否と期限、事業を続ける人の手続きをまとめて確認しましょう。労務の届出には短い期限のものもあるため、並行して相談します。
出典:横浜市「クリーニング所に関する手続き」、横浜市「クリーニング業を閉業する事業者様」、環境省「排出事業者責任の徹底」、東京消防庁「危険物の手続き」
税務・労務の公式案内:国税庁「廃業する場合」、国税庁「準確定申告」、国税庁「相続税の申告と納税」、厚生労働省「雇用保険の手続き一覧」、日本年金機構「適用事業所が廃止・休止等になったとき」
土壌・地下水の確認は、過去の使用履歴から
現在の店の名前や、溶剤の有無だけで判断しない
クリーニング店で使われてきた溶剤には、テトラクロロエチレン(パークレン)などがあります。取扱いの状況によって土壌・地下水への影響の確認が必要になることがありますが、溶剤を使用していたことだけで、その土地に汚染があると断定するものではありません。
「今は溶剤を使っていない」「取次だけになった」「建物がきれい」「においがない」という事情だけで、調査や届出が不要になるとは限りません。過去の営業、機械の更新や撤去、薬剤の取扱いと、済んでいる行政手続きを確認します。
| 確認する資料・履歴 | 調べたいこと |
|---|---|
| 営業届出・環境関係の届出 | 施設の種類、設置・変更・廃止年月日、誰が届け出たか。 |
| 機械・溶剤の記録 | 使用した物質、使用期間、購入・保管・廃棄の記録。製品名や安全データシートも手がかりになる。 |
| 配置図・配管図・設備図 | 洗濯機、保管場所、地中タンク、地下配管、排水経路等の位置と履歴。 |
| 過去の点検・事故・処理記録 | 漏えい等の記録、設備の修理、廃棄物の処理記録。 |
| 土壌・地下水の調査報告、行政の通知 | 調査の範囲・物質・結果、区域指定、調査猶予の確認等の有無。 |
| 以前の事業者や土地利用 | 前の店や工場が何をしていたか。貸主、元従業員、設備業者等への確認。 |
資料がないときは「使用していなかった」と決めず、分かること・不明なことを区別して行政と調査機関へ伝えます。行政の区域指定情報に掲載されていないことだけで、汚染がない証明になるわけでもありません。
土壌汚染対策法第3条の調査とは
有害物質を使用等する、法律上の「有害物質使用特定施設」の使用を廃止したときなどには、土壌汚染対策法に基づく調査・報告が必要になる場合があります。
これは保健所に提出する営業廃止届とは別の確認です。店全体の営業を続けていても、対象施設や特定有害物質の使用等をやめる変更が、調査の契機になる場合があります。必要な届出を出していなかったことを理由に、調査義務もないと判断することはできません。
第3条の調査義務は、土地の所有者・管理者・占有者のうち、廃止施設を設置していた者や行政から通知を受けた者等について確認します。土地の持ち主と営業者が違う場合は、どちらがどの手続きを行うのか、所管の環境担当部署で整理してください。
法定の土壌汚染状況調査は、土壌汚染対策法に基づく指定を受けた「指定調査機関」が行います。法の条件に基づく行政の確認によって、調査が猶予される場合もありますが、単に「店を続ける」「売る予定がない」という自己判断で、免除されたことにはなりません。猶予を受けた土地も、利用方法や所有者等の変更に伴う手続きを確認します。
相続したこと自体が、直ちに施設の使用廃止になるわけではありません。また、すべてのクリーニング店・すべての相続人に、同じ調査義務が生じるわけでもありません。
自治体条例、土地の工事も別に確認
国の法律に加え、自治体条例で、工場・事業所の廃止や土地の掘削・造成等を契機とする調査・届出が設けられている場合があります。法第3条以外でも、土地の形状や性質を変える工事などに、別の届出・調査が必要になることがあります。
過去の取次化や設備撤去の時点で、届出等が必要だった可能性も含めて確認します。廃止、解体、タンク撤去、掘削を計画したら、工事を発注・開始する前に、所在地の環境担当部署と指定調査機関等へ相談してください。
出典:環境省「土壌汚染対策法について」、環境省「土壌汚染対策法・施行令・施行規則の三段対照表」、横浜市「工場・事業場の廃止時の土壌調査の契機」、東京都環境局「環境確保条例・土壌地下水汚染対策の概要」
解体・売却・貸出しは、調査と費用の範囲を決めてから
建物を先に壊すと、確認が難しくなる場合があります
解体や改修では、土壌だけでなく、石綿(アスベスト)を含む建材の有無も確認します。建物の解体・改修工事には、原則として石綿の事前調査が必要です。工事の規模等で行政への調査結果報告の対象が決まり、石綿の種類や作業内容によって必要な届出・措置が変わります。
「小さな店だから調査不要」「外から見て石綿がなさそう」と判断せず、法令で求められる資格等を備えた調査者・施工業者に確認します。発注者も、図面や建築年等の資料を提供し、調査・対策を見込んだ工程と費用を確認してください。
土壌調査、石綿調査、薬剤・設備の処理、タンクや配管の撤去、建物解体は、必要な順序を行政と専門業者で調整します。不要だと思う機械を処分する前に、調査に必要な資料や状態を残すことも大切です。
見積りは「調査」「対策」「撤去・処分」に分ける
| 費用の区分 | 見積りで確認すること |
|---|---|
| 資料・使用履歴の確認 | 集める資料、現地確認、行政相談、報告の範囲。 |
| 土壌・地下水等の調査 | 対象範囲・物質・深さ、採取・分析、追加調査の条件。 |
| 必要な対策 | 調査結果と利用目的に応じた方法、設計、行政との手続き、完了の確認。 |
| 薬剤・設備・タンク等の撤去処理 | 残存物、廃棄物の分類・量、運搬・処分、地下設備の範囲。 |
| 石綿調査・対策、建物解体 | 事前調査、届出、必要な除去等、解体と廃棄物処理。 |
| 契約・登記・税務等 | 原状回復、登記、専門家への依頼、売却等に伴う税務。 |
一式の金額だけでなく、どこまで含むか、不明な設備や追加調査が見つかった場合にどう変更するかを確認します。物件の状態が分からない段階で、費用・工期や「必ず更地にして売れる」といった結果を一律に決めることはできません。補助制度も、地域・年度・要件・申請時期等により異なります。
売却時は、既知の情報と未確認事項を分けて伝える
これまでの用途、溶剤の使用履歴、調査報告、行政の通知、地中設備の情報などを不動産会社へ伝えます。売買契約にどう反映するか、調査・対策・費用を誰が負担するかは、必要に応じ弁護士等を交えて整理します。
「現状のまま売る」と決めるだけで、法令上の義務や契約上の責任がすべてなくなるとは限りません。一方で、汚染の有無や調査結果が分からない段階で、売却できないと決めつける必要もありません。調査の範囲、用途、買主との条件を踏まえて方針を検討します。
他の業種でも、使われ方に応じた確認が必要です
| 物件の例 | 確認事項の例 |
|---|---|
| ガソリンスタンド等 | 危険物施設、地下タンク・配管、油類の使用履歴、土壌・地下水等。 |
| 工場・作業場 | 原材料・薬剤、排水、設備、廃棄物、土地利用の履歴等。 |
| 飲食店・食品施設等 | 営業許可・届出と承継、厨房・排水設備、消防、契約等。 |
| 店舗併用住宅・貸店舗 | 居住部分と店舗部分の所有・利用、借主の営業、改修・用途変更等。 |
これは確認の入口の例です。クリーニング業法の承継届を他の業種にそのまま当てはめたり、同じ業種なら環境義務も同じと判断したりせず、個別の施設と所在地で確認します。
よくあるご質問
土地・建物だけを相続したら、クリーニング業も引き継ぐことになりますか?
不動産の取得と、営業者の地位の承継は分けて確認します。営業者が亡くなった方なのか、別の借主や法人なのかを、保健所の届出や契約で確かめてください。建物の所有者になっただけで、すべての営業届出を自分の名義に変更するとは限りません。
相続人がクリーニング師の資格を持っていなくても、営業できますか?
洗濯物の受取り・引渡しのみの施設を除き、クリーニング所ごとに1人以上のクリーニング師の配置が必要です。営業者本人が必ず資格を取得しなければならないという意味ではありません。亡くなった方だけがクリーニング師だった場合は、体制を整える前に営業を続けられるか、保健所へ確認してください。免許は相続できません。
今は取次店で、溶剤もありません。土壌の確認は不要ですか?
現在の営業形態だけでは判断できません。以前その場所で洗濯や溶剤の使用があったか、設備を廃止したときの届出・調査が済んでいるかを確認します。過去の使用時期や自治体条例により、必要な対応が変わる場合があります。
父が会社の代表者でした。会社の店も、相続承継届を出しますか?
営業者が法人の場合、個人営業者の死亡による相続承継と同じ扱いとは限りません。法人名義の営業、不動産、契約は、代表者個人の財産と区別します。代表者変更の届出や会社の登記、相続する株式等について、保健所と弁護士・司法書士・税理士等へ確認しましょう。
保健所へ廃止届を出せば、あとは片付けるだけですか?
環境・排水・消防・廃棄物・税務・労務や契約の手続きが、別に必要な場合があります。先に解体や設備処分をせず、環境担当部署へ使用履歴と予定を伝えてください。リース品や顧客の預り品は、自分の相続財産と区別します。
不要な店だけを相続放棄することはできますか?
特定の店や土地だけを選んで相続放棄することはできません。申述期限は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。財産を処分した場合の影響もあるため、負担が不明なときは弁護士等へ早めに相談し、必要であれば期限内の期間伸長も検討します。放棄後も、放棄時に現に占有している財産の保存など、条件に応じた注意点があるため、「放棄すれば何の対応も要らない」と決めつけないでください。
解体業者の見積りがあれば、土壌・石綿・設備の費用も分かりますか?
その見積りが何を含むかの確認が必要です。土壌・石綿の調査、必要な対策、薬剤や地下設備の処理は別項目になったり、調査結果で追加費用が生じたりすることがあります。対象範囲と追加費用の条件、行政手続き、作業の順序を確認してください。
土壌汚染が心配な物件は、売却できませんか?
使用履歴があることと、汚染が確認されていることは違います。既知の情報と未確認事項を整理し、必要な調査や対応、利用目的、契約条件を検討します。売却の可能性や価格は物件ごとの判断となり、売れば調査義務や責任が必ず消えるということでもありません。
FAQの根拠:厚生労働省「クリーニング業法」、環境省「土壌汚染対策法について」、法務省「相続放棄後の財産の保存義務の見直し」、厚生労働省「石綿の事前調査等」
相談先を分けて、不動産の今後を整理しましょう
不動産、営業、法律、環境、税務の判断を1人で抱える必要はありません。最初に資料と疑問を整理し、担当する窓口へ順番に確認します。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 営業承継・変更・廃止、クリーニング師・衛生管理 | 所在地を管轄する保健所等の生活衛生担当。 |
| 土壌・地下水、排水施設、調査義務・条例 | 自治体の環境・水質・土壌・下水道担当。法定の土壌調査は指定調査機関へ。 |
| 危険物、タンク、薬剤の安全 | 所管の消防署等、設備・処理の専門業者。 |
| 廃棄物の分類・処理、設備撤去 | 自治体の廃棄物担当、対応する許可を持つ処理業者。 |
| 石綿調査、解体・改修、建物の利用 | 法令上の資格等を備えた調査者・施工業者、建築士、自治体の建築担当等。 |
| 相続放棄、契約、債務・保証、費用負担や紛争 | 弁護士。司法書士には裁判所提出書類の作成等を相談できる。 |
| 不動産の登記 | 法務局、司法書士・弁護士。 |
| 準確定申告・相続税・廃業と承継の税務 | 税務署、税理士。 |
| 雇用・保険等の手続き | ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所、社会保険労務士等。 |
| 不動産の管理・活用・売却の方針 | 終活専門不動産。 |
相談時は、これだけ分かれば入口になります
- 1. 所在地と、土地・建物・営業の名義。
- 2. 亡くなった日・相続を知った時期、相続人や遺言の状況。
- 3. 営業を続けているか、継続・廃業・売却等の希望。
- 4. 分かる範囲の機械・溶剤・タンク・配管と、過去の届出や調査。
- 5. すでに行った解約・処分等、残っている契約・借入れ・従業員・預り品。
すべての資料がそろうまで相談を待つ必要はありません。不明なことも、そのまま相談先へ伝えましょう。期限が近い場合や危険がある場合は、それぞれの法律相談・行政の安全対応を優先してください。
終活専門不動産へ、不動産の今後をご相談ください
終活専門不動産では、引き継いだ不動産をどう管理するか、活用・売却をどう考えるか、今後の方針の整理をご相談いただけます。営業や設備の状況、分かっている使用履歴や調査資料もお知らせください。
相続放棄や契約の法律判断、環境診断・法定調査、税務申告、営業の行政手続きは、担当する専門家・行政への確認が必要です。これらの確認を踏まえて、不動産としての選択肢を検討します。
営業時間:9:00〜18:00
終活専門不動産/Well-base株式会社
住まいと不動産の今後を、
一緒に考えませんか。
住み替え、実家、相続した不動産。今の気がかりと、これからのご希望をお聞かせください。売却するかどうか、まだ決まっていなくてもご相談いただけます。
当社は住まい・不動産についての相談窓口です。営業・設備・薬剤・環境に関する手続きや調査は、各行政窓口と専門家へご相談ください。当社では、不動産の管理・活用・売却など、今後の方針を整理します。専門分野のご相談は、内容に応じて各分野の専門家と連携します。